映画キャッツ感想:ミュージカル版との違いやキャラクター・ストーリーを解説
よく喋るチートな悪党猫!マキャヴィティの真の目的とは
映画キャッツに登場する猫のなかでもっとも悪党な存在がマキャヴィティ(イドリス・エルバ)です。
舞台版のマキャヴィティは神出鬼没にあらわれては「ワハハハ!」「ィヤハハハ!」など高らかに笑うだけなのですが、映画版マキャヴィティはまぁそれはよく喋る悪いおっさんの猫でした。かっこいいけどめっちゃ悪者です。
舞台版では登場シーンは少ないのですが映画版ではそれこそ最初から最後まで何度も登場しました。
なんか色々と適当なことを喋っては猫たちを騙すんですね。マキャヴィティだと気づいて逃げる猫もいればまんまとマキャヴィティに騙されてしまう猫もいます。ヴィクトリアも最初の方で騙されそうになりましたがミスター・ミストフェリーズに助けられて難を逃れました。ミストめちゃくちゃいいやつです。
どういう原理なのかはわかりませんがマキャヴィティは煙のようになりその場から姿を消してしまいます。後にこれはワープをしているのだと判明します。神出鬼没といえば神出鬼没ですがまさかの魔術師だったとは。
マキャヴィティは「お尋ね者の猫」と紹介されていますが自由自在にワープができ移動できるのですから、彼を捕まえることは至難の業でしょう。
そしてマキャヴィティにとって邪魔な存在の猫(ジェニエニドッツ、バストファージョーンズ、劇場猫ガス、スキンブルシャンクスなど)をも術をかけてワープさせ、その場から消し去るという悪事を働きます。
猫の送り先(軟禁先)はテムズ川に浮かぶボートです。術で消し去られる=この世から葬り去るのではなかったことは唯一の救いとも言えるでしょうか。まぁこれはチートな誘拐ですね。なにしろ狙った猫を瞬時に移動させることができるのですから。
バストファージョーンズを誘拐したときには「ごちそうがここにあるよ」と誘い込んでゴミ箱にそのワープの層(?)を仕掛けるという作戦を敢行。とにかくいろいろなパターンで猫を誘拐できるようです。
ちなみにテムズ川のボートの上でマキャヴィティが誘拐してきた猫たちを縛りあげ見張る役割を担うのは、なんとあのグロールタイガーでした。マキャヴィティは「キャプテン」と呼んでいましたね。
いやいやいやグロールタイガーって舞台版では劇場猫ガス(アスパラガス)がかつて演じた劇中劇の登場人物・伝説の海賊猫ですよ!グロールタイガーのナンバーもあって舞台版キャッツでは人気のある猫で、もちろんマキャヴィティとは何ら関係がありません。そんなグロールタイガーが映画版だとマキャヴィティの手下になっていたのはかなり意外な設定でした。
最後にはなんとガスに追い込まれてボートから川に転落してしまいました。映画版「グロールタイガーの最期」はかなりシュールな展開に。
話をマキャヴィティに戻します。マキャヴィティが猫たちを誘拐した目的は「俺がヘビサイド層(遥かなる天上の世界)に行きたい」のです。長老猫オールドデュトロノミーが選ぶかもしれない目立った候補猫たちを次々と誘拐して候補から外し、自分を選んでもらおうという魂胆。
結局はオールドデュトロノミーをも脅して「悪者は選ばない」と言われてしまいます。そして腹を立てた結果オールドデュトロノミーをも誘拐(ワープ)してしまいます。
舞台版のマキャヴィティもオールドデュトロノミーを誘拐しますが今回の映画版ではその目的(俺を選んでくれ)が明確になりました。
マキャヴィティを取り巻く設定も今回の映画では名言化されていました。なにやらかつてグリザベラとともに劇場のスターだった?ということがさらっと語られていました。そこはもう少し掘り下げて説明してもらいたかったです。
そして映画版ではボンバルリーナ(テイラー・スウィフト)を手下に従えています。舞台版ではボンバルリーナはマキャヴィティの手下ではありません。映画ボンバルリーナは「マキャヴィティ:ザ・ミステリーキャット」でマタタビを振りまきながら登場します。
あれだけマタタビ撒いたら自爆するんじゃないかとも思いましたが、うまいこと他の猫たちだけが酔っ払ってボンバルリーナはマタタビ全然平気という耐性の仕様。ともすればジャンキー設定なのかもしれません。
マンゴジェリー&ランペルティーザもボンバルリーナとともにマタタビを撒き散らすのですが、この二匹はマキャヴィティの手下というよりはボンバルリーナに雇われているような感じがしました。
舞台版だとその後に「マキャヴィティファイト」というシーンがありジェリクル達と死闘を繰り広げるマキャヴィティを見られるのですが、映画版ではファイトシーンはありませんでした。
その代わりと言いましょうか。映画のかなり最初の方「ジェリクルソングズ・フォー・ジェリクルキャッツ」の後すぐにマキャヴィティが登場しますが、その際に舞台版「マキャヴィティファイト」の音楽が使われていました。
そんなマキャヴィティですが最後には少々間抜けな幕切れとなってしまいます。そこは映画館でお楽しみいただければと思います。