【観劇レポ】劇団四季アナ雪初日感想 圧倒圧巻のレリゴーに震えた!姉妹愛と絆を深く掘り下げた人間ドラマ!「アナ雪2」要素も

 

劇団四季アナ雪:特徴・見どころ・ブロードウェイ版との違いなど

【アナ雪2要素】両親の海難事故の描写が丁寧に。そしてエルサの魔法のルーツとも言える「ノーサルドラ」発言も

映画版と同様に、ミュージカル版アナ雪では冒頭エルサとアナの幼少時代の場面があります。そこには姉妹の両親であるアグナル王とイドゥーナ妃が登場します。

不幸にも二人は海難事故に遭遇し崩御します。エルサとアナの幼い王女は両親をいっぺんに亡くしてしまうのです。(やがて成人したエルサが王位を継承し、アレンデール女王になります)

映画「アナ雪」では、なぜ両親がふたりとも船に乗って出かけ、なぜ事故に遭ったのかの説明はありませんでしたが、後の「アナ雪2」では、生まれつきエルサが持つ雪や氷の魔法について手がかりを探りに行くため、両親は船に乗り、航海中荒波に呑まれたことが明らかになります。

ミュージカルアナ雪では、アグナル王は出発前にエルサに「エルサの魔法について何かわかるかもしれないから行く」と言います。エルサは行ってほしくなさそうですが「お父様の期待は裏切りません」と父に誓います。それが父と娘最後の会話となります。

BW初演版では、アグナル王とイドィーナ妃はそのままアンサンブルに担ぎ上げられ、あまりに突然すぎる死の場面となっていました。映画「アナ雪」を見ていなければわかりにくい場面であったと思います。(司教による海難事故による王と王妃崩御の言及があるとはいえ)

今回からの新演出では、アグナル王とイドゥーナ妃が船に乗り込む描写があり、その背後には荒ぶる海がスクリーンに映し出されています。そして、まるで船のように二人を囲んでいたアンサンブルがやがて荒ぶる波のように動き、二人は抱き合うようにしてその荒波に耐えていますがやがて力尽き、王と妃は引き離されるように波に呑まれてしまいます。

この場面は人により船や波が表現されていますから、とても演劇的です。そして見ていてもわかりやすい場面となり、丁寧に表現されるようになったと思います。主人公二人の両親が亡くなる哀しいシーンですが、場面的にはかなり良くなったと思いましたし、感心しました。

そしてアグナル王とイドゥーナ妃が荒波に耐え抱き合う動きは、映画「アナ雪2」の場面そのもので、ここもかなりグッときました。

 

 
 
 
 
 
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また場面は前後しますが、幼少期エルサがアナを殺しかけたことで、瀕死のアナを助けるためにイドゥーナ妃は”隠れびと”(映画版のトロール)を不思議な歌を歌って呼び寄せます。(この不思議な歌は後にクリストフも歌います)

歌に呼ばれてやってきたバルダが「なぜ我々を呼べる」と尋ねると、「私はノーサルドラの子(だからあなた達を呼べる)」とイドゥーナ妃ははっきり言います。

私はこの「ノーサルドラ」発言にすぐピンときました。イドゥーナ妃が言ったその「ノーサルドラ」とは「アナ雪2」で明らかになった架空の民族名のこと。映画「アナ雪2」ではノーサルドラの若きイドゥーナが、敵方のアレンデール王子・アグナルを助けたことで、その褒美としてエルサが贈られたことが示唆されます。

つまり、エルサが雪や氷の魔法を生まれつき持っているルーツとも言えるのが、この「ノーサルドラ」というキーワードなのです。

「アナ雪2」公開前から上演していたブロードウェイ初演版では、イドゥーナ妃が何と言っていたのかは自信がなかったのですが、westergaardさんの劇団四季アナ雪解説記事によると、BW初演版では「北方遊牧民」と言っていたと解説されています。

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追記(2021/10/25)劇団四季版アナと雪の女王について書いた記事のメニューをここに記載しておきます。 「太陽よ輝いて」(オープニングナンバー)「生まれて初めて」「危険な夢」(戴冠式中のエルサのソ ...

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劇団四季版アナ雪では「ノーサルドラ」そして、海難事故場面の刷新と映画「アナ雪2」要素が色濃く入り、つまりそれはエルサの魔法のルーツとも言える大事な場面がしっかり表現されることでもあります。

そして劇団四季版アナ雪では、映画「アナ雪」「アナ雪2」そしてミュージカルアナ雪がしっかりと繋がったとも言えると思います。

 

劇団四季版アナ雪の舞台セットは、ブロードウェイスケールの豪華セットとツアー仕様のハイブリッド

劇団四季版の舞台セットはブロードウェイスケールのフル規格セットを採用していますが、一部ではツアー版の仕様も取り入れており、BW+ツアーのハイブリッドな舞台装置になっているとも言えます。

具体的に言うと舞台の盆は小型化され、盆を使った演出が冒頭の場面で限定的になりました。それによりBW版で多様されていた盆の演出は基本的に四季版にはありません。戴冠式の前日、アナがエルサの部屋の前にやってきて、その後エルサの部屋へと転換する時に盆が使われる、限定的な使用のみとなります。

さらに「モンスター」の場面で、奈落からつき上がってくるエルサの氷の柱の本数が減り(四季版では奈落からは3本のみ)、残りの氷柱(全部で15~20本位)は左右の舞台袖から移動してきます。ここは氷の柱の全部が奈落からつき上がり(さらに盆も回った)BW版とは異なりますが、全ての氷の柱が横から滑ってきたツアー版とも違う、こちらもハイブリッドな四季版オリジナルの仕様とも言えます。

ツアー版のセットは随分簡素化されていた(言ってしまえば随分チープに感じた)ので、劇団四季版アナ雪の舞台セットもスケールダウンになるのでは?と心配していましたが、それは杞憂に終わりました。よかったです。

今回の四季版では一部ツアー版の仕様が採用されているとはいっても、基本的にはブロードウェイサイズのフル企画の本格舞台セットであり、本場の迫力がほぼそのまま再現されています!
禁断先生イラストアイコン

 

 
 
 
 
 
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※ (↑) Instagramはツアー版セット(上)とブロードウェイ版フルセット(下)を比較したもの。劇団四季上演版はブロードウェイのフル規格+一部ツアー版の仕様を取り入れたハイブリッド舞台と言える

 

 
 
 
 
 
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※ (↑) 劇団四季版アナ雪ではこのような「盆」を使った演出はない(冒頭に一部あるのみ)

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