日本ではホリプロが企画制作する、アンドリュー・ロイド=ウェバー製作のミュージカル『ラブ・ネバー・ダイ』(ラヴ・ネヴァー・ダイズとも)について、書きます。
ラブ・ネバー・ダイは「世界で最も有名なミュージカル」と言われる、ALW製作版ミュージカル「オペラ座の怪人」の実質続編とされています。
しかし実は、外伝的な位置づけにあたるミュージカルです。アナザーストーリー。
ファントムはもちろんのこと、クリスティーヌ、ラウル、メグ・ジリー、マダム・ジリーと、「オペラ座の怪人」の主要登場人物たちが、ラブネバにも引き続き登場します。
特に、今回初めて日生劇場のラブ・ネバー・ダイを観劇するという方。
また「大きな声では言えないけど実はラブ・ネバー・ダイってあまりよく知らないんだよね」という方や、「以前見たんだけどよくわからなかったんだよね」という初心者の方にも、今回はわかりやすく解説していければと思います。
あなたもこの記事を読めば、ラブネバのことはもうバッチリですよ!
YouTubeでラブネバの配信が決定しました
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2200文字でわかる!ラブ・ネバー・ダイのあらすじをザックリと
まずは、ラブ・ネバー・ダイのあらすじをザザッと説明しますよ!
ミュージカル ラブ・ネバー・ダイ あらすじ
【1幕】
パリ・オペラ座の「オペラ座の怪人事件」から10年後。
”オペラ座の怪人”と呼ばれた男ファントムはアメリカに渡り、ニューヨーク・コニーアイランドの劇場・見世物小屋が並ぶ複合遊園地「ファンタズマ」を経営し、財を成していた。
遊園地の経営は順調だったが、ファントムは満たされることはなかった。なぜならば、かつて歌姫として育て上げ熱烈に恋したクリスティーヌ・ダーエはそこにはおらず、彼は精神的にもがき苦しみ続けていた。しかし、クリスティーヌの歌をもう一度聴くことを強く思い願い、日々作曲活動に勤しんでいた。
オペラ座の元ダンサーメグ・ジリーは、ファンタズマのトップダンサーとして、Mr.Y(=ファントム)主催の舞台に出演していた。
メグの母でオペラ座バレエ団の元講師マダム・ジリーは、メグのマネージメントや、ダンサーの指導・ショーの構成などを手がけていた。
ジリー親子は10年前の事件の後、ファントムを秘密裏に匿い、ファントムと一緒にニューヨークへ渡ってきていたのだ。
マダムは「新劇場こけら公演にクリスティーヌが出演」と書かれた新聞記事を読み、メグに伝える。二人はクリスティーヌの事でそれぞれの思いを募らせた。
クリスティーヌは、世界的に高名なオペラ歌手として活躍していた。夫のラウル・シャニュイ子爵と10歳の息子グスタフを連れて港に到着すると、「借金返済のためのオペラ出演ではないのか」と新聞記者が声をかける。ラウルは無礼極まりない記者らの態度に激怒した。
しかしラウルがギャンブルに興じ莫大な借金をつくっていたのは事実で、クリスティーヌは借金返済の為に、新劇場のオペラハウスに高額なギャラを条件に出演する契約で、訪米したのだった。
ラウルは、滞在先のホテルのスイートルームで酒を飲み、港での記者たちの洗礼に対して怒り狂い、クリスティーヌとグスタフに当たった。ラウルは部屋から出ていったが、父の態度に深く傷ついたグスタフは「パパは僕のことを愛していないの」と尋ねる。しかしクリスティーヌは優しく否定し、愛する息子を抱きしめ、寝かしつけた。
部屋にクリスティーヌがひとりになったことを見計らい、ファントムが突然部屋に入ってきた。「ファントムは死んだ」と思い込んでいたクリスティーヌは、大変驚く。10年ぶりの再会だったがクリスティーヌは強い嫌悪感を示した。
ファントムから切り出された過去の二人の秘密。「オペラ座の怪人事件」の後、月あかりの下にファントムの元に訪れたクリスティーヌ。そして二人は愛し合った。その一夜限りに起きた事の話を。
ファントムはクリスティーヌに「2倍のギャラを支払うから、私が書いた曲を1曲だけ歌ってほしい」と懇願する。クリスティーヌは一度は拒否したが、ファントムがグスタフの誘拐をほのめかし、脅迫してきたことに屈し、出演を承諾してしまう。
クリスティーヌは、ファントムに手渡された譜面を読んでみた。頭の中から溢れ出るあまりに美しいメロディ。クリスティーヌはファントムの創造する音楽の美しさについて、再認識し始めていた。
翌日、「ファンタズマ」のリハーサルスタジオで、マダムとメグ、クリスティーヌとラウルが再会する。
メグは、かつて姉妹のように仲が良かったクリスティーヌとの再会に喜んだが、クリスティーヌが「ファンタズマ」のトップ歌手として舞台に立つことを知り、ショックを受ける。
マダムはラウルに、このショーはファントムが手引きをしていることを暴露する。ラウルは驚きクリスティーヌを問い詰める。
懐かしい友たちの喜びの再会だった筈だが、その場は不穏な空気に包まれた。
その頃グスタフは、”トリオ”(フレック、スケルチ、ガングル)の手引きでファントムのオフィスに居た。グスタフはファントムの前で、自らの感性から沸いてきた音楽をピアノで弾き、美しい歌声で歌い始めた。
ファントムはグスタフに強い興味を持った。そしてあることに気づき始め、やがて確信した。
ファントムはグスタフを導き「ファンタズマ」の暗い不思議な幻想と恐怖の世界へ誘う。そこにいるフリークについて、ファントムは「彼らは家族同然であり、この世界こそが美の真実だ!」と説く。
覚醒したグスタフは、その不気味で奇妙極まりない人たちや世界を一切怖がらず、ファントムが説く「真実の美」に魅了されている。
高揚したファントムは「自らの真実」も受け入れてくれると信じ、思い切って仮面を外し、素顔を見せた。しかしグスタフは、悲鳴を上げて逃げ出した。
グスタフを探しにやってきたクリスティーヌにファントムは激昂し、問い詰める。「私に何かを隠しているだろう?!」
クリスティーヌは静かに告白した。かつて月あかりの下でファントムと過ごした夜のこと。グスタフはファントムの「真実の父親」であることを。
その告白を聞いたファントムは、感極まり泣き崩れた。クリスティーヌは「たった一度だけあなたの為に歌う」と約束し、その場から去った。
ファントムはまるで独り言のように宣言する。「10年前の事件の後、深く暗い闇から這い上がり自ら築き上げたこの世界と、創造した音楽のすべてを、息子のグスタフに捧げる!」と。
しかし、ファントムの様子をひっそりと見ていたマダム・ジリーは「10年間彼に仕えてきた私達の立場は、あの子どもが現れたことで危うくなった!」と嘆き、懸念を募らせたのだった。
(2幕へ続く)
めっちゃ長いですがここまででやっと1幕が終わりです。
「オペラ座の怪人」の後から10年間の間に様々な出来事があったことがわかりますね。ラブネバは、かなりこみ入った話になっています。
2幕のあらすじにはここでは、触れないでおきます。
1幕終わりまでの流れを理解しておけば、2幕の展開には充分についていけるでしょう。