「Kenko 5×20FMC HG」を実際に使った感想:「ヒノデ 5×21-A」との比較レビュー
(メーカーサイトの写真では普通の白に見えていましたが、実際の製品は光沢・ラメのある白で、高級感がありました)
注意点:長時間の観劇でもギリギリ耐えられる?重量は255g
「Kenko 5×20FMC HG」の重さは、実測値で255g(ストラップ込み)です。
ヒノデとの大きな差はこの重量です。比較対象の「ヒノデ 5×21-A5」は218g(当ブログ調べの実測値)と、高性能でありながらかなりの軽量化を実現しています。(ヒノデAシリーズの前モデルは266gもあったそうです)
ケンコーとヒノデとの差は37gです。僅かの差かと思いきや、実際に両方持ち較べてみると、ケンコーの双眼鏡はどうしてもずっしり感がありました。
そして実際に使ってみた感想ですが、今回1時間20分ある「ノートルダムの鐘」1幕をケンコーの双眼鏡(255g)でほぼ全編使用したところ、1幕終わり頃には若干の疲労感をおぼえました。(私の実感であり、もちろん個人差はあるとは思います)
そうは言っても、200g台の双眼鏡というのは、ミュージカルや舞台などの長時間の観劇時に耐えられるひとつの目安なのかなとも思います。もし、これ以上双眼鏡が重くなってしまうと、手や腕に大きな負担がかかってくることは容易に想像ができますし、長時間使用する観劇には不向きになってくると思います。
注意点:アイポイントが少し厳し目
アイポイントとは、双眼鏡を覗くときに全視界がきれいに見える目の位置のことです。アイポイントが外れると、視野が欠けたり、全く見えなくなってしまいます。
これは実際に使ってみなければ絶対にわからなかった注意点としまして「Kenko 5×20FMC HG」はこのアイポイントがやや厳し目であるということでした。
片手持ちで双眼鏡を使用していた時ですが、途中、突然左目の視野が真っ黒に欠けてしまうような見え方になり、びっくりしてしまいました。
これは、「目の位置がずれて一時的に見えなくなってしまった」ことがすぐに理解できたので、両手でしっかりと双眼鏡を持ち直し、目の位置を見えるポイントに合わせると、またちゃんと見えるようになりました。
しかし数回、この見えなくなる「視野欠け」の現象が起きてしまいました。これは、ヒノデの双眼鏡や長年愛用したDPC Iでは経験したことがなかったことです。ましてや観劇中に。
調べてみると「ヒノデ 5×21-A5」は、見やすさを追求してアイポイントを寛容に設計してあるとのことで、多少目の位置がずれたとしても見えるようになっているそうです。(参考:アイポイント | 日の出光学)
ケンコーの双眼鏡は、私の実感だとアイポイントはやや厳し目であり、例えば片手で持っていた時などにアイポイントが少し外れてしまうと、私が今回経験したような「視野欠け」が起きてしまうことがあると思います。
私は眼鏡の上から双眼鏡を見るので、もしかしたらそのことにより、アイポイントが少しずれやすかった可能性もございます。
観劇での双眼鏡の扱いに慣れている方でしたらすぐに対処できるかと思いますが、初心者の方でしたら対応の仕方がわからずに困ってしまうかもしれません。その点は大きな注意点になると思います。
良かった点:やはり5倍が良かった!暗い舞台奥でもはっきり鮮明な視界の明るさを実現!
ヒノデの双眼鏡のレビュー記事でも申し上げましたが、「5倍の双眼鏡ってどうなの?」という疑いがある方はいらっしゃると思います。私もそうでした。
しかし、この「Kenko 5×20FMC HG」においても「やっぱり5倍が良い!」ことを痛感いたしました。
観劇用に適している双眼鏡は、やはりコンパクトなものが使いやすくて良いのです。この「Kenko 5×20FMC HG」もそうですが、口径20mm台のものがコンパクトな双眼鏡になります。
そして5倍だからこそ、このコンパクトさでも充分すぎる視界の明るさを確保・実現してくれます
今回は、ミュージカル「ノートルダムの鐘」で、京都劇場2階C席後方列からの観劇で双眼鏡を使用しましたが、舞台がやや薄暗くなるシーンの演者の表情や、舞台奥の櫓の上にいるクワイヤ(聖歌隊)の細かな口の動きなどにおいても、肉眼で見るよりも双眼鏡を覗いたほうが明るく見えました。
明るさを示す数値は16となっています。(ケンコー・トキナー発表のデータより)
ヒノデの明るさの数値は17.64ですので、較べてしまうと数値上としては少し差がでますが、それでも充分すぎる程の視界の明るさを確保できています。
一方で、各メーカーがスタンダートモデルとして販売している8倍や10倍の双眼鏡では、コンパクトサイズにしてしまうことで、構造上この明るさが犠牲になってしまいます。
例えば、8倍の双眼鏡になると30~40mm口径のモデルで十分な明るさ・見やすさが確保できるとのこと。しかしこれでは双眼鏡が大型化し、重量も相当に重くなってしまいます。大型の双眼鏡は2~3時間もある舞台を観劇するのには重くなりすぎますし、持ち運びも結構大変になってくることでしょう。
日の出の双眼鏡もそうですが、5倍モデルならではの充分すぎる明るさと、観劇向きなコンパクトさを実現していることこそが、このスペックの双眼鏡の最大の特徴であり、製品の強みと言えましょう。
(※折りたたんだ状態で撮影しています)
良かった点:5倍はアップになりすぎず、手ブレもほぼなし!
ヒノデの双眼鏡のレビュー記事でも申し上げましたが、5倍モデルを選ぶことで心配していたのは「それほど大きく見えないんじゃないか?」ということです。特にこれまで8倍を使っていたので、そう思っていました。
しかしそれも杞憂に過ぎず、むしろ「5倍でもこんなに大きく見えるんだ!」と、感動したことはその記事でお伝えした通りです。
これまではアップに見えすぎたせいで、フロローとフィーバスあるいは、カジモドとフィーバスの2人しか見られなかった「タンバリンのリズム」の場面では、カジモド・フロロー・フィーバスと3重唱を歌う男性キャストだけでなく、その後ろにいるスローモーションで動くエスメラルダまで、一つの視界でバッチリ見えました。
ヒノデの双眼鏡もそうですが、これまではアップに見えすぎてしまい、もう少し引いて見たいと思っていた場面は、5倍の双眼鏡を使うことでほぼ解決しました!本当に良かったのです。
そして、先にも説明しましたように5倍ならではの驚異の明るさで見えますので、これまで見えなかったものがたくさん見えます。当たり前ですが、キャストはとても細かい演技をしているので、それを見て取れるのは、新たな発見が得られることでもあります。
双眼鏡の倍率が大きくなると手ブレも大きくなってしまい見えにくくなりますが、5倍だと手ブレはほぼなく、長時間見ていても酔ってしまったりしんどくなることはありませんでした。
ピント合わせ・視差調整・眼鏡をしていてもOK
ケンコーの双眼鏡もピント合わせ・左右視差調整・眼鏡をしていても使える点は同じで、このあたりはとても使いやすくて、有り難い設計となっています。
ケース・ストラップ付き
ケンコーの双眼鏡もソフトケースとストラップが付いています。
ただケースが若干ペラいので、心配な方はしっかりとしたケースを別で用意されたほうが、安心かもしれません。