音楽座ミュージカル『SUNDAY(サンデイ)』公開ゲネプロ感想
前置きが長くなりました。ここで音楽座ミュージカル『SUNDAY(サンデイ)』本編の解説と感想(ネタバレなし)をお伝えします。
原作はアガサ・クリスティーのサスペンス小説
ミュージカル『SUNDAY(サンデイ)』は、英国の推理作家・アガサ・クリスティーのロマンチック・サスペンス小説「春にして君を離れ」が原作。
ミステリアスでスリリングな展開が続くも、途中でクスッと笑ってしまうようなシーンを入れてくるのは、さすが音楽座ミュージカル。「シャボン玉~」もシリアスとコミカルが共存していました。
話が進むほどに壮絶な展開になりますが、私はこのストーリーの先が気になってしまい、いつしか食い入るように集中して舞台を見ていました。
「人間の本質」をリアルに描いており、人間は思い詰めるとよからぬ方向に行くこと。これには私自身も心当たりがあったので、主人公の痛みや苦しみ。そしてどうすることもできない歯がゆさなどがひしひしと伝わり、共感することがありました。
シンプルな舞台セットながらも場面の情景を思い浮かべる小道具の使い方や、キャストが用いる大型の布などで表現される砂漠。そして照明もとても良かったです。
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主演・高野菜々(ジョーン・スカダモア役)の素晴らしさ
ジョーン役の高野菜々(こうのなな)さんが大変に魅力的で、素晴らしかったです。
抜群の歌唱力でスラスラと歌うことはもちろんのこと、くるくると変わる表情がとても魅力。演技の細かさもあり、御本人よりも上の年代のジョーンという女性を自然体で演じている姿がとても良かった。
終盤では絶叫のような台詞や歌唱が連続していたので喉の負担を心配しましたが、ラストシーンまで素晴らしい歌声を披露してくれました。
高野菜々さんは、音楽座ミュージカル入団時から数々の主役や主要役を射止めているまさに才能の方で、現在の音楽座ミュージカルの中心メンバーの一人であることは間違いないでしょう。高野菜々さんのジョーンを見られたことは感動でした。
以前に我らがジャン・バルジャン福井晶一さんが、「高野菜々ちゃんのお佳代も素晴らしい」とインスタで仰っていましたので、いつしか「シャボン玉~」のお佳代を演じる高野菜々さんも拝見したいと思いました。
(追記)ジョーン役高野菜々さんが文化庁芸術祭賞(演劇部門新人賞)を受賞されました。あれだけの熱演熱唱でしたから、この受賞には納得です。高野菜々さんおめでとうございます!
音楽座ミュージカル「SUNDAY(サンデイ)」公演で高野菜々が「令和2年度(第75回)文化庁芸術祭賞(演劇部門 新人賞)」を受賞いたしました。
*受賞対象:音楽座ミュージカル「SUNDAY(サンデイ)」における演技https://t.co/x5127q28at pic.twitter.com/78D6PObBdE
— 音楽座ミュージカル広報 (@ongakuza) December 25, 2020
(追記ここまで)
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ストーリーテラー・ゲッコーの正体
ゲッコー役の広田勇二(ひろたゆうじ)さんも素晴らしかったです。ゲッコーは「とかげ」という意味で、ミュージカル「エビータ」のチェのようにどこかしら舞台の傍らに居て、ストーリーテラーの役割も担います。
見た目は結構やさぐれた雰囲気なのですが、広田勇二さんがまためちゃくちゃエエ声で歌うんです。みなさん本当にとんでもない歌唱力です。
ゲッコーは一見ストーリーとは関係ない人物のようですが、ジョーンとは普通に会話をするし結構絡んできます。私は実は、終演後にゲッコーの正体について気づきました。
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