劇団四季アナ雪開幕キャスト感想
アナ:三平果歩
ミュージカルアナ雪は意外にも「ダンス演目」です。エルサを除いて殆ど全役が、いろいろなタイプの結構激しめのダンスを披露します。
特にアナはめちゃくちゃハードな役です。バリッバリ踊ります!
姉のエルサは怒って走って逃げてレリゴーするのみですが(いえエルサも相当に大変な役です)、アナはもっともっと大変です!
舞台にほぼ出っぱなし状態で歌唱、ダンス、アクロバット、喋る、笑わせる、着替える・・・と、それはもうミュージカルアナ雪でも一番の大忙しな登場人物と言えます。
私はブロードウェイアナ雪を観劇した際、真っ先に日本のアナ役にと思った方が三平果歩(さんぺいかほ)さんでした。当時まだ劇団四季はアナ雪上演発表前でしたが、その段階で「あ、アナは三平ちゃんがやるね!」と自信をもって確信したのです。
それはなぜかと言えば、やはり三平果歩さんのこれまでの舞台での活躍はよく拝見していましたし、抜群の身体能力と誰もが恋する桃色ヴォイス。そしてキュートなルックスと表情がかわいらしい魅力満載の皆が愛する人気俳優。BWキャストのアナがバリッバリ踊ってペラペラと早口で喋る姿を見て、「アナは三平果歩さん以外には考えられない!」と思いました。
そして実際にアナ雪のキャストが発表され「アナ役三平果歩」の文字を見たときには「やっぱりきた!」と思いましたし、後にインタビューで「アナ雪の映画を見てアナ役を演ると決めた」とご本人も仰っていて、いつも有言実行の凄い方だとも思いました。(「マンマ・ミーア!」のソフィ役も客席で観劇しながら「私はソフィを演る」と心に決めたと発言されています)
稽古場の段階では三平果歩さんはBチームに入っていたように伺えましたが、舞台稽古からは一部のキャストが入れ替わり、三平果歩さんが開幕アナ役として出てくることが濃厚になり、そして実際に初日から登場しました!
岡本瑞恵エルサ×三平果歩アナ、このスペシャルなお二人が開幕に来たのは、もはや奇跡と言っていいのではないでしょうか?
三平さんは歌やダンスが卓越しているのはもちろんなのですが、まず何が魅力かと言えばその喋り方です。アナは結構な早口で話すのですがその声といい言い方といい間といい絶妙なのです。そしてくるっくる変わる表情といい、もう三平果歩さんのアナを見ているだけでめちゃくちゃ楽しくなります!
アナは太陽の様に明るい性格ではありますが、幼少期に両親を亡くしエルサに避けられ続けたこともあって孤独を強く感じており、「私は予備」「温室育ちで」「生きている人間に慣れてない」などの独特なアナらしい言葉で笑わせるものの、どこか寂しげな雰囲気を醸しているのもポイント。でも寂しさを隠すために「愚痴じゃないのよ!」と笑って切り返すところも含めて、とっても良いです。
コメディエンヌなセンスもばっちり持ち合わせる三平果歩さんならではの、明るくて楽しくてとっても面白い人=魅力あるアナがそこにいます。
また、クリストフには「その提案を採用します!」と、王女らしいしっかりとした口調で言うのもツボ。三平さん声色のバリエーション多すぎです。
そして抜群の身体能力から繰り出すダンスはもうキレッキレ。ダンスについてはもはや安心して見ていられるレベルですが、結構アクロバティックなアクションもあり、相手方(ハンスやクリストフ)との息がぴったり合っていないとこれはなかなか難しいと思います。それをすんなりやってのけるのが三平果歩さんの凄いところでもあるのですが、その三平さんでさえも「アナはめちゃくちゃ大変な役」と取材会で発言されており、並大抵の努力では決して務まらない難役であることはひしひしと伝わります。どこを切り取っても見応えある、とても激しいアクションの連続です。
加えて歌唱も多いです。唯一のソロナンバー「トゥルー・ラブ」は今回カットになりましたが、どの歌も音域が広く上は結構なハイトーンまでいきます。桃色ヴォイスな三平さんの歌声をたくさん聴けることはもちろん嬉しいのですが、ここもコンディションを保つにはなかなか大変そうに感じます。
エルサと歌う新曲の姉妹デュエット「あなたを失いたくない」では、エルサ役岡本瑞恵さんとのハーモニーがとても美しく、歌詞の内容もグッとくるので感動しました。声質で言えば岡本さんの方が強くてぶ厚い印象ですが、ここでは三平さんの方が結構パワーある歌唱でグイグイと押していて、エルサを説得したい強い気持ちが歌声にも表れていたのかもしれません。本当にここは名場面です!
歌い続け踊り続けで大変なアナですが、唯一休憩?できる場面があります。クリストフや”隠れびと”と一緒にワイルドなダンスを披露したアナは、ある事が原因で直後に倒れ込んでしまいます。葉っぱでできたベッドが運び込まれ「クリストフララバイ」ではそこでぐっすり眠る三平さん。まぁ場面的にはアナは苦しんでいるシーンですけれども、あんなにハードな役なので三平さんちょっと休んでと思ってしまいました。
そして二幕終盤ではとある人物に裏切られて凍死寸前に・・・しかし最後の力を振り絞って勇敢にもエルサを守るアクションはもう涙ものです。アナが復活した直後に言う台詞はエルサ同様に見ている観客はきっと涙してしまうでしょう!私も泣いてしまいました!なんて優しい子なの?!
数多くの衣裳チェンジがあることもアナの特徴です。一部では舞台でのお着替えもあります。どのお衣裳もとても似合っていましたが、個人的にはクリストフが貸してくれた防寒着姿がモコモコしてかわいらしく思いました。凍えているところをクリストフに助けてもらったのに、服渡されて臭そうに顔を歪めた表情にも笑ってしまいました。また、アナはウイッグのチェンジも多くあります!
いやぁ本当にめちゃくちゃ良かった!エルサ思いの優しくて勇敢で活発な王女!三平果歩さんのアナ、素晴らしかったです!
※YouTubeは劇団四季アナ雪キャストコメントより。右が開幕アナ役の三平果歩
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※YouTubeはアナ雪ブロードウェイ公演舞台映像「For The First Time In Forever(生まれてはじめて)」劇団四季版はこちらとほぼ同じ演出となる