劇団四季ミュージカル『ノートルダムの鐘』感想・観劇レポ一覧

日本初演初日 魂を揺さぶる本格ミュージカルが重厚に開幕!観劇レポ:2016年12月11日(土)

まず、結論です。劇団四季ノートルダムの鐘は、もう期待以上の出来でした!

重厚なミュージカルとはこのことです!魂をめっちゃ揺さぶられました!

ノートルダムの鐘、本当にめちゃくちゃ良かったです!

めっちゃ好きなヤツでした!ゴォゴォ泣きました!!

1幕ではとにかく作品のパワーに圧倒され続け、2幕ではあまりに哀しすぎて苦しくて痛くて

嗚咽をこらえることで精一杯でした…うぅ…うぅ…

ほんまに、2016年で一番泣きました!エグい感じでした。

あースッキリした。いや、こうなることはわかっていたので。OKです。

ノートルダムの鐘は、この作品を象徴する大きな「」以外の舞台ギミックはありません。

「フライングすげー!」「パペット本ものみたい!」「空とぶじゅうたんどうやって飛んでるの?」的な、派手なギミックや舞台アクションは一切ありません。

全ては、荘厳な作品のパワーを強く感じるミュージカルです。

それは俳優の演技(ヤバイぐらい泣かされるし、恐ろしい)、俳優の歌ウマ(上手すぎてググッとくる)、音楽や合唱のパワー(ザワーっと鳥肌が立つ)。

そして、強く感じるのは人間くささです。もうクッサイです!プンプンします!

でも、それがいいんですね。登場人物に感情移入ができます。

私、今回フィーバスに感情移入してしまいました。これは予想外でした…いや、フィーバス、エエ男やで!←

ノートルダムの鐘は非常にシリアスです。

これ、この感覚は、ミュージカル レ・ミゼラブルに似てるかなと思います。私の感覚ですけど。原作はどちらもユゴー先生ですしね。

そして、オペラ座の怪人ウィキッドに共通する点も多くありますので、いずれかの作品のファンなら刺さるものは必ずあるかと。

でも、思わずクスッと笑ってしまうようなシーンも少しあります。私は結構笑ったんだけど、周りはあまり笑ってなかったですが。日本のお客さんは行儀がいいので。

とにかく、禁断の感想なんてもうどうでもよいので(いや、ちょっとは読んでほしいけど笑)、本当にノートルダムの鐘は、できるだけ早い機会に見ていただければと思います!

劇団四季ノートルダムの鐘は、超絶オススメします!

 

劇団四季ノートルダムの鐘の4つの大きな特徴

1:劇団四季ノートルダムの鐘はアンサンブルが大活躍!キャスト全員が「語り部」でストーリー展開がとてもわかりやすい

劇団四季ノートルダムの鐘の大きな特徴として、キャストのほぼ全員が要所要所で「語り部」となり、台詞や歌で物語の補足説明をしてくれます

劇団四季ノートルダムの鐘は舞台セットの大きな変換はありませんが、この随所に入る説明が観客のイマジネーションをかきたて、「今こういうシーンなんだな」ということがよくわかるようにできています。

面白いのは、語り部は固定ではない…すなわち、一人のキャストが担うわけではなく、無法則に入れ替わっていくんですね。

例えば、さっきまで大助祭の格好をし、説教をしていたフロローが詰め襟姿になり、弟ジェアンと肩を組んで、

フロロー「クロードは優しい兄さん~♪

ジェアン「ジェアンは、美少年~♪

と歌うことで、若きフロロー兄弟の青年時代に時間が巻き戻ったんだ…ということがわかるようにできています。

「オペラ座の怪人」でジョセフ・ブケーを演じていた佐藤圭一さんがジェアン役なので、「ジェアンは美少年~♪」のフレーズだけで私は肩の震えがとまりませんでしたが、それはおいといても「あ、フロロー兄弟の弟の方はイケメンなんだな」ということがわかります。

そうです。アンサンブルだけではなく、プリンシパルも時には部分的に「語り部」になります。

ラストにはカジモドも…

そしてこの作品で大活躍するのは、アンサンブルです。

時には町の会衆、時には石像やガーゴイル、時には準メインどころ(デュパン神父、聖アフロディージアス、ルイ11世、宿屋の女将など)に扮します。

クワイアに加わり、コーラスに参加したりもします。

もちろん先程説明した「語り部」としても、要所要所入ってきます。

 

2:キャストは全員歌ウマ!

そしてとにかく、ノートルダムの鐘は全員!歌ウマの人が揃っています。

アンサンブルでもシングルで歌うシーンが多くあり、その声の良さが際立ちます。

特に、男性アンサンブル6枠の平良交一さんの歌声が豊かに響き渡り、ウットリしました。

 

3:差別・暴力シーンあり、性的な表現あり

詳しく、どのシーンで、どういうもの…とは書き記すのはやめておきますが、差別やいじめ、思わず目を覆いたくなるような暴力シーンがあります。

フロローは躾や罰のつもりだと思いますが、カジモドを虐待するシーンも少しあります。

まぁ、鐘撞き塔に閉じ込めている事自体、虐待ですけどね。

また、オリジナルプロダクション(北米プレミア版)と同様、この作品は「」もテーマのひとつとしており、性的な表現もある程度(マイルドながら)でてきます。でも家族で観劇して気まずい程ではないので安心してください。

2幕のフロローはかなりおぞましく、人によってはトラウマになるかも………

ノートルダムの鐘は大人のミュージカルです。

 

4:自然な日本語発声に

これは書いていいのかどうかわかりませんが、割と大きなことなので書きます。

ノートルダムの鐘では、とても自然な日本語発声になっています。

これまで、劇団四季独特の発声法(母音法)を苦手に感じていた人には、朗報になると思います。

劇団四季の台詞の聞き取りやすさはそのままで、ロボット的なカクカクがなくなった…と言えばわかりやすいでしょうか。

ですから、「ノートルダムの鐘見たいけど劇団四季だからなぁ!」という、四季嫌いの人にも、偏見なく見て頂ければいいなと思います。

 

メインキャスト感想

カジモド:海宝直人

いやぁ、アカンです。めっちゃ泣かされました。身体と心の痛みをとても感じた。海宝直人のカジモドはアツいぞ!本当に素晴らしかった!

私は、海宝直人さんは劇団四季の舞台で拝見するのは今回が初めてでした。アラジンデビューもシンバデビューも見にいけませんでした。レ・ミゼラブルのマリウスでは何度か見ています。彼のマリウス、好きよ。2017年も見に行くわよ!

今回はディズニー作品3役目の主役で、しかも日本初演キャスト(カジモド役は飯田達郎さんとのダブル・オープニング・キャスト)で、開幕日の出演を射止めたわけですから、それはものすごいプレッシャーもあったことでしょう。

顔や身体を歪め、独特な発声で声をくぐもらせ、大汗をかきながら、不自由な身体で舞台を動きまわる海宝カジモドにグッときました。

もうね…最初に海宝直人が歩いてきたときから泣いたもん。カジモドになったときにはもうゴウゴウ泣いたもん。

すみません。ずーっと泣けるんです。このノートルダムの鐘は。

フロローはカジモドに「上に行け!」っていうんですね。そうか、「ハイ!」は上という意味か。

フロロー曰くカジモドはある意味「子ども」。エスメラルダ曰くカジモドはもう「オトナ」。

外の世界を知らないからこその子どもっぽい純真さもあり、真面目でひたむきで、まっすぐな心を持っているカジモド。

年齢的にはもう立派な大人であるのに、恋をしたこともないカジモド。

フロローに抑え込まれているけど、決して暗い性格ではなく、はしゃいだりお茶目な一面もある。

そんな辛く、哀れなカジモドに海宝直人さんはしっかりと向き合い、演じていました。

「陽ざしの中で」「石になろう(メイド・オブ・ストーン)」は熱唱熱唱…

海宝直人さんは、ハイトーンもラクラクでるんですよね。ええわ、最高音出す時の声の感じがまたググッとくる

美声で歌いながらもカジモドの息遣いである「ググッ」や「フン!」というのを入れてきます。これ、歌うのは相当シンドイはず。

でも、歌声は安定。くっきりはっきりです。

メインナンバー2曲以外でも、カジモドのパートは基本的にはものすごく高い音を取っていることが殆どで、海宝直人カジモドの美声がハーモニーでもとても綺麗に聞こえて、とても心地よかったです。

でも、歌うの本当に大変だろうな…

ラストの演技は…もう…涙涙、涙です。私は泣きすぎてメガネが落ちそうになりました。

ぜひ、あなたの目で確認してください。

海宝直人さんはレ・ミゼラブルの出演が決まっているので、ノートルダムの鐘は限定出演になるのでしょう。

京都や横浜で出てくれるのかどうかはわかりませんが、また是非、出演してほしいですよ!

 

クロード・フロロー:芝清道

芝清道がまたやってくれましたぜ…これは新境地ですよ!

劇団四季版では、芝清道さん演じるフロローの愛を感じました。たっぷりと。

弟への愛。弟の息子であるカジモドへの愛。

そして…エスメラルダへの愛。これはおぞましいほどに感じました

とにかく気持ち悪いし、おそろしいし、完全に歪みきっています

こんな恐ろしい人に狙われてしまったエスメラルダは、とにかく気の毒だとしかいいようがありません。

聖職者としての敬虔な心、(聖職者のくせに差別する)ジプシー嫌いの心、そして抑えきれない、溢れでる欲望・・・

コントロールしようとすればするほど、義務や正義の名のもとに重ねていく罪

この超難役とも言えるフロローを見事なまでに、芝清道が渋く、恐ろしく演じます!本当に素晴らしいです。

エスメラルダに「怪物はあなたよ!」と言われるフロロー。その後のフロローが、めちゃくちゃ恐ろしいです

とにかく、芝さんの演技にやられた!という感じです。フロローが主役なんですよ…このノートルダムの鐘は…

そして、フロローといえばビッグ・ナンバーの「ヘル・ファイアー(地獄の炎)」です。

これ、なんでしょう。こんなパワフルなヘル・ファイアーを体感してしまった私は、この後一体どうすればいいんですか?

フロローの葛藤を、脅威の歌声で表現する芝清道。絶唱とはこのこと!

身震いするほどの揺らし歌唱と、アンサンブル+クワイアの分厚い合唱は、もう必見必聴です!

いやー芝さん。やってくれはりましたわ・・・めっちゃ好きですわ、芝フロロー・・・こわすぎですわ恐ろしすぎですわ・・・

でも、こわいけどめっちゃ好きだった!歪みきったどうしようもないオッサン、芝フロブラボー!

 

エスメラルダ:岡村美南

先にTwitterで書いたように、岡村美南さんのエスメラルダめちゃくちゃカッコよくて、本当に素晴らしかったのです!

ダンスはもちろん、もうウットリ。

「タンバリンのリズム」だけでなく、「酒場の歌」でもエスメラルダのダンスをタップリと楽しめます。

そしてあんなに激しく踊っているのに、さらに倍音歌唱を惜しげもなく披露して劇場を揺らします

なに?あの歌声はいったいどうやったら出るの?

そして、台詞を話す時の声色

あれは岡村美南の声じゃないよね。完全にエスメラルダの声になってるよね。喋り方がいちいちカッコイイです。

どことなく、ディズニー・アニメーション版のエスメラルダ役、保坂知寿さんの喋り方を意識しているような・・・(保坂知寿さんは石丸幹二さんとともに、初日公演をご覧になりました)

いや、とにかく、岡村美南エスメラルダはめちゃくちゃカッコイイ女性です。ほんまに惚れました。

あんな女性に憧れる人は多いでしょうね

そして、エスメラルダは気が強いだけじゃないんです。とても優しい一面も持ち合わせています

カジモドへの優しさがねぇ…もうほんまに泣かされます。

カジモドがエスメラルダに、友達のガーゴイルのことを嬉しそうに話した後、カジモドが「でもこんなバカみたいな話」と言ったら、エスメラルダは「そんなことない!」と、カジモドの空想話を含めて、全て優しく受け入れるのです。

その「そんなことない!」の言い方が良かったなぁ。ウソじゃない言い方というか。本心から言ってるというか。

そして、2幕終盤のエスメラルダの追い込まれ方が本当に壮絶で…見ているのが辛くて痛いほどでした。迫真の演技です。

そして、エスメラルダは最後まで優しいのです。

きっと、泣きます。彼女に感情移入した人はマジ泣きすると思います

 

フィーバス:清水大星

フィーバス役は清水大星さんでした。いやー彼がまた良かったです!イケメンよ!

フィーバスって、チャラチャラしてるのには理由があるんですよね。

戦地で4年間、地獄のような目にあって、ようやく返ってきて出世し、パリで大聖堂の警備隊長に就任したんです。

「息抜き」というナンバーでは、チャラチャラと女性にチョッカイをかけるシーンの合間に、その戦地時代のトラウマを表現する歌があります。

フィーバスは上官(フロロー)の命令には逆らわないけど、でも間違ったことは間違ったことだとちゃんと判断できる男なのです。

そして、女性には決してひどいことはしません。優しいんですね。

カジモドとはデコボココンビというか、あまり仲はよくないけど、エスメラルダの為に協力して奇跡御殿を目指します。

海宝カジモドとの台詞の掛け合いも良かったです。

ここまででも、演技力や隊長としての所作や、話し方なんかもかなり気に入ったんですけど、奇跡御殿でエスメラルダについていくと宣言した後ですね。(奇跡もとめて)

失恋したカジモドの歌声がまた哀しいんですけど、エスメラルダを守りたいという強い気持ちを感じました

そして、涙涙のエスメラルダとのデュエット、「サムデイ(いつか)」…ヤバイよ…

ラストの演技も非常に哀しい…です。

清水大星フィーバス、気に入りました。

カッコよかったし、演技はうまかったし、歌もうまいし、良かったよ!

 

クロパン:阿部よしつぐ

クロパン役は阿部よしつぐさんでした。ウマイです!

エエ感じに歌うし、軽快に踊るし、ずる賢そうな感じを歌や声で表現していました。

クロパンはことあるごとにエスメラルダに忠告します。

非協力的かと思いきや、エエシーンでパーっと現れて、助けてくれたりするんです。

やはり、クロパンの大きな見せ場は「トプシー・ターヴィー」ですが、それ以外でもクロパンは活躍します。

最後はカジモドと向き合ってあることをします。これがとても丁寧でよかった。泣けました。

名脇役…という表現が適当かはわかりませんが、阿部よしつぐさんのクロパン、良かったです。

 

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