劇団四季ミュージカル『ノートルダムの鐘』感想・観劇レポ一覧

川口竜也フロロー感想:解釈とまとめ

今回、川口竜也さんのフロローを拝見して私が強く感じたのは「弟への歪んだ愛と呪縛」です。

これまで私は、フロローが言う「弟を愛していた」というのは詭弁であり、ジェアンに嫉妬をしているのではないかと思っていました。

しかしノートルダムを抜け出して「遊びに行く」とジェアンが言ったときの川口フロローの笑顔は、完全に弟を許していたし愛していました。

しかし弟が言わば自分のせいで破門になり、その結果弟は病気になって死にました。

体の変化を誂われ、ジェアンと赤子(カジモド)を残して先に死んだジプシー女のフロリカ(カジモドの母)のことは、フロローはきっと恨んだことでしょう。

弟にギルティーを感じてフロローはカジモドを育てます。青年時代とは違い大助祭になった後の川口フロローは、厳格な聖職者になっていました。

「弟は救えなかったが、この子(カジモド)が正しく生きていけるように育てよう」と誓ったように、大人になったカジモドには笑顔を見せることはありませんでした。

そして、エスメラルダについては本当に魔女だと思っていたように思えました。

かつて弟を堕落させたジプシー女は邪悪な存在そのもの。それなのに相反してエスメラルダを愛してしまった自分を強く責め、葛藤します。

ですから自分の女にならなければ「死」であり、エスメラルダを死に至らしめることは「義務だった」ということなんですね。

これらのフロローが言う理屈は一見不条理に思えるのですが、フロローにとっては道理にかなったことだったのです。

カジモドに「もう大丈夫だ」「魔女のことは忘れよう」「やっと二人で暮らせる」と言ったのは洗脳したい為の詭弁ではなく、本心からだったことが伺えます。

川口フロローは突然大きな声で怒鳴り上げたり、エスメラルダを恫喝したり、カジモドを睨みつけたりします。そうかと思えば怯えて震えたりしていました。

これらの表現はとても人間くさくリアルであり、私はフロローというのはこういう人だったんだと納得し、ストンと落ちました。

川口フロローの最後は、弟ジェアンの霊の歌声に怯えます。

怒り狂ったカジモドに殺されるという恐怖から、その時だけ弟の声が聞こえたのか、それとも川口フロローには弟の霊がいつも見えていたのかはわかりません。

愛していた弟を過去に救えなかった結果、皮肉にも弟の息子(カジモド)に殺されてしまうフロローの宿命と悲劇。

フロローは断末魔とともに塔楼から落下。私は色々と納得がいきすぎて、フロローの心情を察し、涙が止まりませんでした。

最後の解釈のところは私が感じたことをそのまま書いていますので、あまりとらわれずに、実際に見て、感じていただけたらいいなと思います。

繰り返しますが、私は川口竜也さんが演じたフロローはとても納得がいきました!もう本当に良かったです。素晴らしすぎました。

歌や声が良いというのはもちろんのことですが、川口竜也さんの中で生きるフロローという男をしっかりと咀嚼することができ、私もこれまでとはまた違った視点でこの作品を見ることができたことは、大収穫だったと思います。

すごい演技力でした。流石としか言いようがありませんでした。いやぁ、エエんですか?こんなすごいことをやっちゃって・・・

さて!川口竜也さんのフロローですが、川口さんの今後の他作品の出演スケジュールから予想すると、ノートルダムの鐘横浜公演の後は、生きる~レミゼのツアーが終わるまでは、フロローを拝見することは難しそうな気配です。

2017年のカジモド役海宝直人さんのように、レミゼのツアー中にカジモドを演るという離れ業もないとは言えませんが、普通に考えると2019年の秋頃まではフロローとしての再登場は難しいかもしれません。

ということは、横浜で出ている間に早めに見ておくのが吉!ということでしょう。

劇団四季やノートルダムの鐘ファンの方はもちろんのこと、「レ・ミゼラブル」の川口竜也ジャベールのファンの方にも、川口竜也さんが演じるフロローは是非見て頂きたいと思います!

そして、普段は劇団四季しか見ないという方は2019年の「レ・ミゼラブル」の川口竜也さんが演じるジャベールも見てください。

チケットが取れますように!今回はこのぐらいにしておきますね。それでは!

 

2018年5月25日(金)の出演者 KAAT神奈川芸術劇場<ホール>

カジモド:金本泰潤
フロロー:川口竜也
エスメラルダ:宮田 愛
フィーバス:光田健一
クロパン:阿部よしつぐ

塚田拓也
安部三博
大空卓鵬
賀山祐介
高舛裕一
平良交一
佐藤圭一
大木智貴

小川晃世
杉山由衣
時枝里好
小島由夏

クワイヤ(聖歌隊):
柳 隆幸
坂下良太
澤村楽人
山下泰明
井上隆司
青井緑平
山﨑聡一郎
和田ひでき
遠山美樹
片山美唯
潮﨑亜耶
土居愛実
河村古都
谷 明実
秋山知子
織笠里佳子

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