野中万寿夫フロローの静かな狂気に恐怖し優しさに涙した観劇レポ:2017年1月7日(土)の感想
海宝直人カジモドの完成度の高さ
5回観劇中4回、カジモド役は海宝直人さんでした。
劇団四季はキャストスケジュールが事前に出るわけではないので(直近の一週間前には出ますが)、これは狙ってそうなったわけではありません。
海宝直人さんは期間限定出演であることは間違いないので、初演開幕から集中して海宝カジモドを観劇できて良かったです。
海宝直人カジモドは、基本的に「ずっとカジモドのまま」なんですね。冒頭の登場シーンから、ラストの○○へ戻るシーンまではずっとカジモドを演じ続けます。
歌うシーンになっても顔を半分麻痺させたまま(という顔演技をして)歌い続けます。
そしてやはり素晴らしいのはその歌唱力です。開幕のころから既に出来上がっていましたけど、毎公演まったく危なげがないところが凄い。これは圧倒的といってもいいでしょう。
前回の記事でも書きましたが、特筆すべきは驚異的なロンググレスとロングトーンです。
「陽ざしの中で」や「メイド・オブ・ストーン(石になろう)」もそうですが、フロローのヘル・ファイアー前の「ヘブンズ・ライト(天国の光)」でも、スコーンと伸びるロングトーンを堪能できます。
短いナンバーですが、これもいいですね。カジモドに優しく語りかける女性4人のガーゴイルもいいです。
もちろん顔は歪めたままですよ。めっちゃエエです。凄く好みの歌声です。
さらに今回はラストシーンでのフロローへの詰め寄り方が凄かった!気迫を感じましたし、アツかったし、その怒り具合に恐ろしさを感じた程です。
その後での悲しみからの大泣き…この落差ですね、とても辛く、切ないです。
海宝直人カジモドはもう既にほぼ完成していると思いました。
毎公演素晴らしい熱演・熱唱です。そして最近は涙をボロボロこぼしているとか?
そんなの見せられたらもっとたまらないでしょうね。
その他今回の観劇で感じたこと気づいたこと
- オープニング冒頭、阿部よしつぐクロパンの「パーリの朝、鐘が鳴り響くよ♪」の歌声がいつもめっちゃ好き。優しい感じ。
- 同じオープニングで岡村美南エスメラルダが歌う「この街の魂を歌う鐘♪」が既に美しい。好き。
- カジモドを「道化の祭り」に行くように促すガーゴイル達。最初に小さな銅鑼を鳴らすガーゴイル(男性1枠)は、コーンという音にあわせての変顔は、今回はしていなかった。
- トプシー・ターヴィーでの暴徒シーン。トマトを投げつける民衆。トマトがカジモドに当たる「パン!」という音はアンサンブルが○を叩いて鳴らしている。
- だけど投げたトマトがどこにいくかは謎。これはいつもわからない
- 暴徒vsカジモドのシーン。今回カジモドの王冠が途中でふっとんでしまった。途中女性3枠の吉田絢香さんがうまく王冠を拾い、エスメラルダがクロパンと共に煙幕で逃げた後で、カジモドに詰め寄る際に王冠をカジモドに投げつけて返却。
- 「ゴッド・ヘルプ」岡村美南エスメラルダの「私なら大丈夫」の「わたし」の倍音がよく鳴って好き。
- 「酒場のダンス」の荒削りな感じが好き。毎公演見るたびにあのシーンはどんどん好きになってきている。打ち鳴らすタンバリンもアツい。
- ルイ11世から「魔女逮捕」の特別権限をもらったフロロー。その後の「国王陛下の命だ~♪」と歌う平良交一さんめちゃくちゃエエ声。あそこは少し長めに歌うのでめっちゃ好きなところ。ほんま良すぎ。
- 野中フロローの「わかった、火をつけよう」の言い方が冷静すぎて怖かった。
- 実はそのシーンですぐそばに居てるエスメラルダ。フィーバスが葛藤するところでは被っていたフードを取って顔も丸出しに。周りの兵士も含めてフロローに気づかれないのはちょっと不思議。
- エスメラルダやクロパンが煙幕攻撃をする時の音「ブシャーン!」が結構好き。
- 「エスメラルダ」でのカジモドのハイトーンが好き
- エスメラルダが怪我をしているフィーバスを連れて鐘撞き塔を訪れた時に、カジモドがフィーバスに襲いかかろうとするのは、少し謎。(フィーバスは暴徒から守ってくれた人だとは知らない?)
- 後の展開を考えると、エスメがカジモドの頬にキスをするのは、少々残酷な感じがする。
- 何度も閉められる床の蓋。「バターン!」と大きな音で鳴る。ラストの伏線でもある。
- 聖アフロディージアス、キレイなエエ声
- エエ声で歌い続けるのに突然落ちる聖アフロディージアスの首。音楽も神妙な感じでやたらシュール。
- でも、この「エジプトの逃避」ナンバーがとてもお気に入り。
- フロローに嘘をつくカジモド。芝フロローは「カジモドォー」と言って詰め寄ったが、野中フロローは「カジモドっ?」と、問いただすような感じ。
- 「奇跡もとめて」でフィーバスに手を差し出し握手するクロパンがやたらカッコイイ。
- 阿部よしつぐクロパンの目つきが、イイ。黒く汚した顔からギラリと光る目。こわいけどカッコイイ。
- フィーバスに対抗してエスメラルダに「僕が君を守る」と言うカジモドがかわいらしくて健気で泣ける。エスメラルダは子どもに言い聞かせるように「ありがとう、でも」というのがまた泣ける。
2階C席からの眺めと着席した感想は
今回は2階C席から観劇しました。センターではなく上手サイドブロックの壁側、一番端の席です。
ここがね…意外に見やすくて良かったんですよ!まぁ、一部のシーンでは見えないところもあったりしたけど、思っていた景色よりも全然、しっかり見ることができました。壁側の端っこなのでちょっと斜めから見るような感じです。
2階C席はもしかしたら、センターブロックよりもサイドブロックの方が角度的には見やすいのかもしれません。
そして意外に音響は悪くはなかったです。通常四季劇場[秋]の2階席後方はあまり音は良くないという記憶がありましたが、ノートルダムの鐘に関してはそうでもなかったです。これはかなり調整をしてくれているのだと思いました。
そして恐らく2階後方席だからこそ、はじめて聞こえた音がありました。バスティーユの牢獄シーンで、耳の後ろ側から水がしたたるような音の「ピチャ、ピチャ」言うSEが聞こえたんですよ。
なんか、良くないですか?ピチャピチャって(笑)
牢獄の雰囲気がその音でよくわかりました。
まとめ:キャストによって全然変わってくるからやめられないノートルダムの鐘!
ノートルダムの鐘は見る回数を重ねるたびにどんどん熱い舞台になっていることを感じました。今回もガッツリ泣かされました。
いや、ほんまにいいんですか?あんな凄いことを毎回やっちゃって。
そりゃあクセになりますよね!だってもう既にもう一回見たくてたまらないですもん。中毒性高すぎです。
今回観劇したフロロー役の野中万寿夫さんと芝清道さんでは、全く違った舞台になりました。
まだ見ぬエスメラルダ役:宮田愛さん、フィーバス役:佐久間仁さん、クロパン役:吉賀陶馬ワイスさんで、いつの日か観劇できることを楽しみにしています。
そしていずれ出てくるであろう、第3のキャストも…!
今回観劇したメイン・アンサンブルとも皆、素晴らしかったですよ。
ノートルダムの鐘はプリンシパルだけでなく、アンサンブルキャストの見どころも多いのがいいですね。
劇団四季ノートルダムの鐘 2017年1月7日(土)昼公演の出演者 四季劇場[秋]
カジモド 海宝直人
フロロー 野中万寿夫
エスメラルダ 岡村美南
フィーバス 清水大星
クロパン 阿部よしつぐ
野村数幾
安部三博
大空卓鵬
賀山祐介
中橋耕平
平良交一
佐藤圭一
吉田功太郎
平木萌子
大森真理
吉田絢香
小島由夏
クワイヤ(聖歌隊):
永井崇多宏
坂下良太
山下泰明
奥田直樹
青井緑平
澤村楽人
河野陽介
山﨑聡一郎
片山美唯
山本詠美子
青栁歌奈
千田みゆき
町島智子
河村古都
秋山知子
吉田瑛美